僕らの給与は増えない。でも、医療費は抑えられる可能性がある
僕ら公務員の給与体系は“安定債券型”。
大きく跳ねることはないけれど崩れにくい。
一方で、生活費の中で最も読みにくく、かつリスクが高いのが医療費です。
慢性疾患、降圧薬、定期通院、合併症検査…と、将来に向けてじわじわ効いてくる。
しかも退職後は、実質負担がぐっと重くなる構造。
そこで、「今できる予防策」として、減塩はコスパの良い選択肢になるんじゃないかと思っています。
塩分の摂りすぎは健康リスクを高める可能性がある
2014年に『New England Journal of Medicine』に掲載された大規模な国際研究では、17カ国・約10万人を対象にした追跡調査の結果として:
- ナトリウム排泄量が1日3g未満の人:心疾患リスクが27%増
- 7g以上の人:心疾患リスクが15%増
というU字型の関係が報告されています(Urinary Sodium and Potassium Excretion, Mortality, and Cardiovascular Events)。
つまり、「摂りすぎ」だけでなく「減らしすぎ」も良くないと言っているわけなので、「塩分=悪」と単純化するのはやや早計かもしれませんが、しかし、高血圧の人や、脳卒中・腎疾患の家族歴がある人にとっては、摂りすぎがリスクになるという根拠は昔から多くあります。
日本人の塩分摂取量は? → やや多め
厚労省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、
日本人の平均食塩摂取量は9.7g/日。
40代男性に限ればさらに多く、約10.9g/日。
一方、厚労省の食事摂取基準(2020年版)では、目標値は:
- 男性:7.5g未満/日
- 女性:6.5g未満/日
WHOの推奨はさらに厳しく「5g未満/日」ですが、これはあくまで理想値。
「まずは1〜2g減らしてみる」ぐらいの現実的な対処でも、十分に効果が見込めそうですね。
減塩の第一歩は、調味料の見直しから
このあたりを踏まえると、
特定のリスクを持つ人が“いま”減塩するのは、わりと理にかなっているという話です。
減塩=無塩生活ではありません。
毎日無意識に使っている調味料を見直すだけで、かなり塩分をカットできます。
たとえば:
- 醤油 → 減塩タイプに
- 味噌汁 → 出汁で薄めて量を減らす
- 出汁 → 顆粒から昆布・かつお節などの天然素材へ
- 麺類 → 汁は飲まない、スープは薄める
これだけで1日あたり1〜2gの減塩は十分に可能。
年間にすると約500〜700gの食塩削減になります。
若いうちから、じわっと積んでおく健康対策
iDeCoやNISAが“お金の積立”なら、減塩は“健康貯金”です。
いま減らせば、将来の病気や薬代・通院頻度が減るかもしれないわけです。
特に、高血圧傾向がある方や、家族歴がある方にとっては、
日常の塩分を少しコントロールするだけで、将来の支出をじわっと削る可能性があります。
退職後に収入がガツンと減ったタイミングでは、ささいな通院費の削減も馬鹿にできませんよね。
おわりに:収入は増やせなくても、リスクは減らせる
公務員の給与水準は安定している一方で、退職金は減少傾向、
物価は上昇、年金だけでは足りない──というのは繰り返し伝えてきた通り。
副業は制限がある、爆発的な昇給も望めない。
だからこそ、今の生活習慣を見直して「将来の出費を先に減らす」ことが、公務員に残された数少ない手のひとつだなあと改めて感じています。
まずは簡単なところから、塩分をちょっとだけ減らしてみる。
この地味な選択が、何年か後の自分の自由度をじわっと底上げしてくれるかもしれません。
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