公務員の退職金がめちゃくちゃ減っているハナシ

公務員

公務員の退職金が減少しているってのも、最近よく聞く話ですが、かつては定年まで勤め上げれば安泰だったのに、最近のデータを見ると、そうとも言っていられない感じになっています。

たとえば、総務省の資料によると、地方公務員の定年退職者(勤続25年以上)の退職金は1998年度に平均約2,800万円だったのが、2021年度には約2,120万円程度まで縮小しています。

国家公務員も2012年から2014年にかけて退職手当が平均約400万円引き下げられ、ピーク時(約2,700万円)から現在はおおよそ2,000万円台前半にまで落ちています。

700万円近く減っていることになるわけで、さすがに無視できる数字ではないですね。
軽自動車が新車で何台か買えるくらいのインパクトがあります。

「老後2,000万円問題」を思い出す

2019年に金融庁が出したレポートでは、夫婦2人のモデルケースで、年金だけだと毎月5.5万円くらい生活費が足りないとされていて、それを30年続けると約2,000万円の赤字になるという試算。

当時は「年金破綻だ!」みたいな感じで報道が過熱しましたが、報告書をちゃんと読むと、
「年金だけでそれなりの生活をしようと思うと足りません」くらいの温度感です。

つまり、「生活レベルを保ちたいなら、自力で2,000万円くらい上乗せしといてね」という話。

今までは退職金でこれを賄っていた人も多かったんでしょうが、退職金の一部を住宅ローン完済・子どもの教育費・親の介護等に使うケースも多く、全額を老後資金に回せるとは限らないので、このペースで退職金が減少していくと、我々が退職する三十年後には、全然足りなくなっていそうだな、というわけです。

ついでに”物価高騰”も”効いて”くる

直近では物価の上昇もかなり手痛いところ。

総務省の消費者物価指数(CPI)を見ると、2020年から2023年までの3年間で総合指数は約6.6%上昇しています。特に食品・光熱費あたりの負担は大きくなっています。

一方、公務員給与はというと、2024年度の引き上げ幅は+2.76%。前年は+0.96%、その前は+0.23%。

つまり、物価のほうがたくさん上がっていて、給与はそれに追いつけていないという状態。
給与がちょっと増えても、実質的に買えるモノが減っているというパターンです。

これに退職金の減額が重なると、もらえる金額は減り、使うお金は増えているという構図が見事に完成してしまいます。

なぜ退職金が減ってるのか

理由はそこまで複雑じゃなくて、主に以下のような要素。

– 地方財政の悪化で、退職手当の支給率が削減
– 人事院の勧告などで役職加算・上限額などが見直されている
– 定年後の再任用制度が広がり、「一括退職金」から「長く働いて稼ぐ」へのシフト

要するに、「退職したらドカンと退職金」ではなく、「なるべく長く働いてね」に制度全体が寄ってきてる様子。

対策は”地道に積む”しかない

こうなってくると、「退職金と年金で何とかなるだろう」という設計はあまり機能しないわけで、
やるべきことは、まあいつもの通り。

– 公務員の「安定的な給与支給」を武器に、つみたてNISAやiDeCoなどを活用して地道な積み立て
– 支出をコントロール(特に固定費の削減)
– 生活コストの最適化と健康寿命の確保(医療費カット)

毎月安定したお給料が支払われるという強みを活かし、逆に言えば、爆発的に給与が跳ね上がることもないという弱みをカバーしながら、コツコツやっていこう、というわけです。

結論:退職金はボーナスじゃなくて補助くらいに思っとくとよさそう

というわけで、退職金と老後の資金ギャップについてざっくり見てきましたが、

・退職金は確実に減っている
・物価は上がっている
・年金だけでは足りない

このトリプルパンチの中で、2,000万円の準備を退職金だけに頼るのは、素人目に見ても現実的ではなさそうです。

未来のことは誰にもわからないものの、今の流れを見る限り、「退職金があるから老後は大丈夫」という時代ではなくなってきているのは明らか。

むしろ、退職金は「もらえたらラッキー」「ちょっとありがたい補助金(雀の涙)」くらいのテンションで見てくらいに思って、あとは自分で積み立てておくくらいが、収入をガツンと増やせない我々公務員にはちょうどいいんじゃないかと。


以上、念のため共有まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました